福岡市美術館と建築家 前川國男 見どころと概要

福岡市美術館は、水と緑に恵まれた大濠公園の中にある、前川國男設計の美術館。

福岡市美術館は、水と緑に恵まれた大濠公園の中にある、前川國男設計の美術館。

1979年11月の開館しジョアン・ミロ、サルバドール・ダリ、アンディー・ウォーホル、ジャン・ミッシェル・バスキアなどの大作をはじめ、武家・華族だった日本の氏族のひとつ、近世大名家である黒田家伝来の大名道具や重要文化財を含む茶道具、仏教美術などの古美術作品から現代美術作品まで約16,600点の作品を収蔵されています。

福岡市美術館は周辺の木々よりも高さが低く抑えられ、また大濠公園に対して開かれたエスプラナードを屋上から眺めることで福岡市美術館と大濠公園の一体感をより味わう体験ができます。20193月のリニューアルでは、日本近代建築界の巨匠である前川國男の建築意匠を継承しつつ、大濠公園側に新しい入口とカフェが設けられ、「より開かれた美術館」へと生まれ変わっています。

福岡市美術館の概要

 

開館時間:9:30-17:30(入館は17:00まで)、7月~10月の金・土曜日は20:00まで開館(入館は19:30まで)。

閉館日:月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)

入場料:常設展示は、一般200円(150円)、高・大生150円(100円)、小・中生無料。特別企画展示は各展覧会によって異なります。

waclub (わたすクラブ)

福岡の文化やアートをもっと身近に楽しんでいただくための福岡市文化芸術振興財団が運営する会員制度。詳細はこちら、http://www.ffac.or.jp/wa/

(福岡市美術館、福岡市博物館、福岡アジア美術館、九州産業大学美術館の常設展は無料、特別展は団体料金でご利用いただけます。)

コインロッカーってあるの?

まずはコインロッカーに荷物を預けて散策されることをお勧めいたします。
コインロッカーは各フロアにあります。(合計3箇所)

建築家 前川國男(まえかわ くにお、1905514 - 1986626日)とは

日本人で初めてル・コルビジェに師事した建築家また、アントニン・レーモンドの元で学び、モダニズム建築の旗手として、第二次世界大戦後の日本建築界をリード。丹下健三、木村俊彦は前川事務所の出身です。

代表作品

財団法人木村産業研究所:https://www.city.hirosaki.aomori.jp/gaiyou/bunkazai/kuni/2021-0525-1030-141.html

プレモス住宅:現存せず

旧日本相互銀行本店:https://www.shimz.co.jp/heritage/history/details/1952_1.html

熊本県立美術館:https://www.pref.kumamoto.jp/site/museum/

山梨県立美術館https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/

など

前川國男を語る上で知っておきたいボキャブラリー

プロムナード(仏: promenade):フランス語で「散歩」あるいは「散歩の場所」(散歩道・遊歩道)を意味する語。

建築をただの物理的なハコとみなさず、人が移動することによって場面が展開してゆく組織と見なす概念。

エスプラナード:いこいの広場と呼ばれる外部空間(の存在)。



打ち込みタイル:タイルをコンクリートと一緒に固めてしまうことで、より厚いタイルを安全に取り付けることができます。この方法により、タイルとコンクリートが一体化し、耐久性が向上します。また、接着剤を使用しないため、接着剤の劣化や剥がれるリスクを軽減することもできます。

参照URLはこちら、https://www.tobikan.jp/media/pdf/h25/architecture_midokoro.pdf

 

かまぼこ天井:館内もゆるやかなアーチを描くかまぼこ(ヴォールド)天井。

[ヴィンテージ家具販売員の視点]

エンプラナードから建物内部へ繋がっていくタイルは同じものを使用されているのも前川建築の特徴。

数多くの美術館やコンサートホールを設計した前川國男ですが、建物の中で1番眺めのよい場所に食堂(レストラン)を配置することでも知られています。

無論、福岡市美術館も同様に2階にはホテルニューオータニ博多が運営するレストラン「プルヌス」と、1階にはカフェ「アクアム」があります。

大濠公園の池を眺めながら食事を楽しむことができますよ。

リニューアル後は、気軽に楽しめる金額でなくなったことが残念ですが、前川國男建築とレストランの関係性は覚えておいて損はないと思います。

前川國男も休日はお洒落をしてコンサートに出掛けていたとか。昭和の週末という趣ですね。

リニューアル後の最大の損出は図書室がなくなったこと。

文化面で他県に劣る福岡では有意義なスペースだったこともあり、調べ物をするには最適な環境だったのですが、その場所はカフェになり、「より開かれた美術館」となったのは間違いないですが、美術愛好家にとっては寂しいものです。また、昨今はヒットコンテンツで企画展を開催されることが主流ですが、その際の企画展と常設展の入り口までの導線に難があります。

リニューアル以前の常設展の雰囲気も好きだっただけに、私個人的には色々な想いがあります。

障害をお持ちの方やご年配の方にとっても利用しやすい美術館であってほしいと願うのと同時に、末長く前川國男建築が福岡のシンボルのひとつとして次の世代にも根付いていくことを祈っています。

草間彌生/南瓜
1994年 FRP、ウレタン塗料
200 × 250 × 250 cm


「ミュージアム・シティ・天神 '94 Fukuoka, Japan」という現代美術プロジェクトの一環として行われ、草間彌生が手がけた初の野外彫刻作品。この《南瓜》は、1994年10月、福岡市中央区天神の銀行前に、突如として現れました。この出来事は、街の風景を一変させ、多くの人々の注目を集めました。この作品をきっかけに、草間彌生はカボチャを含む鮮やかな立体作品を制作し、花や帽子なども制作し、さまざまな場所に展示され、現在では世界中で広く知られています。