[ホテル イル・パラッツォ]34年の時を経て、内田デザイン研究所をパートナーにリ・デザイン!

ホテル イル・パラッツォは、日本におけるデザイナーズ・ホテルの先駆けとして1989年に開業、バブル期に数多く企画された著名外国人建築家の設計による建築としても知られています。

[所在地]福岡県福岡市中央区春吉3-13-1

ホテル イル・パラッツォ公式ウェブサイトはこちら、https://ilpalazzo.jp/







「イル・パラッツォ」(Il Palazzo)はイタリア語で「宮殿」の意。命名は、アルド・ロッシ。ロゴデザインは、世界を舞台にグラフィックデザイナーとして活躍した田中一光。今回のグランドオープンでもロゴは継承されて使用されます。

この建築全体の基本設計は、イタリア人建築家のアルド・ロッシが行い、インテリア・デザインと共用部を内田繁、客室を三橋いく代がデザインしました。

クロックタワー内部は、唯一のアルド・ロッシが手掛けた内装デザイン。(この部分は当時のまま残っています。)



垂直に走る列柱のトラバーチンはイラン産、壁面のトラバーチンは失念しましたが、たしかローマ産。

水平に走る緑色銅板のひさしが、ホテル・イル・パラッツォの整然たる表情を持っています。









開業当時は、アルド・ロッシ、倉俣史朗、ガエターノ・ペッシェ、エットレ・ソットサスの4人が四隅に設けられたバーのデザインを手掛けます。

1989年。それは1981年に結成されたデザイナー集団 “メンフィス” がグループを解消した翌年にあたります。

“メンフィス” グループの中心人物は建築家・プロダクトデザイナーである、エットーレ・ソットサス。1980年代にイタリアを中心に世界のデザインや建築に影響を及ぼしました。

メンフィスの当初メンバーは、ソットサス・アソシエイツにいたデザイナーを中心としていました、主なメンバーにはミケーレ・デ・ルッキ(Michele de Lucchi)、マテオ・テュン(Matteo Thun)、マルコ・ザニーニ(Marco Zanini)、アンドレア・ブランジ(Andrea Branzi)、アルド・チビック(Aldo Cibic)、バルバラ・ラディチェ(Barbara Radice)、マーティン・ベダン(Martine Bedin)、スペインのハビエル・マリスカル(Javier Mariscal)。日本からは倉俣史朗、磯崎新、梅田正徳らも参加。

ガエターノ・ぺシェは1958年から1963年の間にヴェネツィア大学で建築を学び、グルッポNという芸術集団で活動。

アルド・ロッシは1979年のヴェネツィア・ビエンナーレのために、船で引かれて海に浮かべられる250席の劇場『Teatro del Mondo(世界の劇場)』を設計し、アルド・ロッシはジェノヴァの第二次世界大戦で破壊された国立オペラハウス(カルロ・フェリーチェ劇場)再生計画など、多くの建築を手がけるようになり、1990年には建築の世界的な賞、プリツカー賞を受賞。ホテル・イル・パラッツォの設計したことも決め手になったとか。

倉俣史朗はエットーレ・ソットサスとの出会いによりデザインのターニングポイントにもなった時分です。

80年代末はデザインの文脈を語る上でも重要な年にあたり、4人のデザイナーが歩んできたそれぞれの言わば集大成として共演したといっても過言ではありません。



プレビューに参加された、日本を代表するインテリアデザイナーの1人 永井敬二氏曰く、「パーティーはまるで世界の中心都市ニューヨークのようだったよ。」

永井敬二さんについてはこちらのブログをどうぞ。


チェアマニアに捧ぐ!永井敬二さんの「椅子コレクターの半世紀」:https://vintagekagu.com/blogs/news/keiji-nagai 

永井敬二コレクション BRAUN AUDIO展 -良いデザインの原理原則-:https://vintagekagu.com/blogs/news/braun-audio_of_keiji-nagai-collection

バブル期の東京ではなく福岡に誕生した、ホテル・イル・パラッツォは、博多ホテルズ(いちご (不動産業)の傘下で2019年3月に設立)の運営に変更になり、内田デザイン研究所の協力のもと2度目のリニューアルで蘇ります。

内田繁デザイン研究所:https://www.uchida-design.jp/



今回のリニューアルでは、地下のホールは「エル・ドラド」としてリニューアル。アルド・ロッシがデザインした同名のバーから内装の一部を移築し、その手前には内田が晩年に手がけたインスタレーション作品「Dancing Water」を設置されています。リ・デザインプロジェクトが叶った空間は必見!

開業時のビビットな青・赤・緑の色彩は、落ち着いたものへと変化し、居心地のよさ。非日常を味わうことができます。一方、客室の落ち着いた空間は、ホテル・イル・パラッツォに宿泊者に安らぎを与えてくれるインテリアになっています。

3階の客室

2階の客室は天井高4Mの空間。20世紀オランダの建築家、デザイナー リートフェルトのレッドアンドブルーチェアの趣きを感じさせるデザイン。(内田繁デザイン研究所 所長談)


デスクと照明と椅子の関係性が美しく纏まっています。

客室の水回りと寝室を間仕切る扉は印象に残るもの。
浴室にはフィリップ・スタルクがデザインした、スツール “プリンス アハ”



内田繁の意思を引き継いでリ・デザインされた家具もまた必ず見るべきといえるほど価値のあるもの。

家具デザインを手掛けたのはインテリアデザイナー内田繁がデザインした家具やプロダクトの企画。制作販売を担うこと。「もの」と「デザイン」をつなぐ新しい生活文化を築くことを目指しスタートした霞工房。

霞工房のウェブサイトはこちら、https://www.kasumikobo.jp/

内田繁さんのデザインした家具のご注文もヴィンテージ家具販売Helveticaでは受け付けていますので、気になる方はメッセージください。
お問い合わせはこちらよりどうぞ、https://vintagekagu.com/pages/contact

2階には4Mの高さの客室が誕生し、バルコニーにも出られる贅沢な仕様となっています。

廊下の天井は開業時同様に格子模様の灯りでライトアップされていてデザイナーズホテルらしい佇まい。

2階フロアのバルコニー。椅子は1985年に内田繁さんがデザインした “ Feb ” をリ・デザインしたもの。

インテリアデザイナー内田繁さんが1989年、福岡のホテル「イル・パラッツォ」のためにデザインした時計「ディアモリス」。

アルド・ロッシのドローイングがペイントされた鏡は、各フロアでデザインが異なるそうです。

ヴィンテージ家具販売員が販売中のアルド・ロッシや内田繁プロダクト

希少なアイテムなど詳細URLはこちら、https://x.gd/EfIC5

[ヴィンテージ家具販売員のコメント]

2023年10月からグランドオープンします。オープン直後は安価に宿泊できるそうですよ。気になる方はお早めにチェックされるとよいかも!

ホテル イル・パラッツォ公式ウェブサイトはこちら、https://ilpalazzo.jp/

まずは、見学だけでもしてみたい!とお考えの方は、ホテル イル・パラッツォの奥深くシンボリックな空間 エル・ドラドのブッフェスタイルのフードプレゼンテーションを楽しまれてみてはいかがでしょうか。

営業時間 料金 (税込)
朝食 7:00 – 11:00 2,500円 フリーアクセス
ランチ 11:30 – 16:00 1,900円
ディナー 16:00 – 21:00 1,900円
ガラディナー 19:00 – 21:00 (一斉スタート) 16,500円 要事前予約
バー 21:00 – 翌3:00

落ち着いたらイルパラッツォ出掛けて写真撮影を行います。
開業当時のビビットな色彩から落ち着いた趣になったこと。この建築にかつてあった4つのバーは無くなりましたが、内田繁デザイン研究所のリ・デザインというプロジェクトが見事に決まった。私はそのように感じます。

福岡都市部は、警固断層等のリスクがあるなか、更新期を迎えたビルが耐震性の高い先進的なビルなどが、天神ビッグバンという大きなプロジェクトのもと建て替わっています。

日本全体でいえることですが、建物が消えるということは文化を喪失することと同義です。

私の気持ちは街の景観が更地に変わり新陳代謝していく様は、決して嫌いではありませんが、イル・パラッツォの価値は決して小さいものではありません。

これからもデザイン愛好者はもちろんですが、地元民も誇れる文化の基地として発展していかれることを心よりお祈りいたします。

ステータスのあるホテルもよいですが、1泊はデザイナーズホテルを選択してみられるのも大人の嗜みだと感じます。